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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.110
2022/1/16
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★ロシア、ウクライナ侵攻に向けた情報工作を開始
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
ロシアが、ウクライナ侵攻に向けた情報工作を開始したようです。
どういうことでしょうか?
▼ウクライナ情勢復習
少し復習しておきましょう。
2014年2月、ウクライナで革命が起き、
親ロシア派ヤヌコビッチ政権が崩壊しました。
2014年3月、ロシアは、ウクライナからクリミアを奪います。
2014年4月、ウクライナ東部でロシア系住民の多い
ドネツク、ルガンスク州が独立を宣言。
親欧米のウクライナ新政府は、当然独立を認めず、
内戦が勃発しました。
この戦いは、ウクライナ新政府を支援する欧米と、
ルガンスク、ドネツクを支援するロシアの代理戦争です。
内戦は2015年2月、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの
首脳による「ミンスク2」合意で、停戦が成立しました。
それから約7年、小競り合いはあるものの、
大規模な戦闘は抑えられてきたのです。
▼プーチン、怒りの根源
ところが昨年末、ロシアは、
ウクライナ国境に大軍を集結させました。
なぜでしょうか?
プーチンは、「ウクライナをNATOに加盟させない
ことを確約しろ!」とアメリカ、NATOに迫っています。
なんのことでしょうか?
戦後、ドイツは、アメリカ資本主義陣営の西ドイツと、
ソ連共産陣営の東ドイツに分断されました。
しかし1980年代末になると、ソ連側があまりにも劣勢になった。
1989年、西ドイツと東ドイツを隔てていたベルリンの壁が崩壊。
つづいて、いわゆる東欧民主化革命が起こりますが、
ソ連はこの動きを止めることができませんでした。
1990年、ドイツ再統一の動きが活発になっていきます。
ソ連は「ドイツ再統一」を認める条件を出しました。
「NATOをドイツより東に拡大しない」こと。
アメリカは、約束しました。
NATOは、「反ソ連(現在反ロシア)軍事同盟」です。
当時は、16か国でした。
これでもずいぶん多いです。
しかし、ソ連崩壊後、アメリカは約束を破り、
NATOの東方拡大をつづけていったのです。
そして現在、NATO加盟国は30か国まで増えています。
どうでしょう?
「30か国からなる反自国軍事同盟」は、脅威でしょうか?
もちろん脅威です。
しかも、拡大の動きは止まっていないのです。
アメリカやNATOは、ロシアの西隣の旧ソ連国ウクライナ、
あるいはコーカサスの旧ソ連国ジョージアをNATOに
引き入れようとしています。
そうなると、NATOとロシアの間の「緩衝地帯」が消滅する。
プーチンは、「これは許しがたい!」と考えているのです。
この「緩衝地帯が不可欠」という考え方、
理解不能の人もいるでしょうか?
しかし、昔は日本も、「ロシアの南下政策を止めるために、
緩衝地帯として朝鮮半島や満洲が必要だ」と考えたのです。
▼なぜ今?
プーチン、怒りの根源は理解できました。
彼は、NATOのさらなる拡大、特にウクライナ、ジョー
ジアへの拡大を阻止したい。
これは、わかりました。
しかし、これは、長いことつづいている問題です。
なぜ、「今になって」ウクライナ国境に大軍を集結させ、
アメリカやNATOを脅しているのでしょうか?
私は
「米中覇権戦争が激化していること」
と関係があるのだと思います。
アメリカの主敵は中国です。
それで、たとえば米軍は、
アフガニスタン、イラク、シリアなどから引き上げている。
要するに、資源を「対中国」にシフトさせている。
プーチンは、「アメリカは今、中国との戦いで忙しい。
それで、二方面で戦うのを避けたいはずだ。
だから、譲歩を勝ち取れるのではないか」と見ていた。
▼米ロ協議の結果は?
1月10日~13日、アメリカとロシア、
NATOとロシアの協議が行われました。
ロシアの要求は、「NATO不拡大の法的保証」です。
特に、「ウクライナをNATOに加盟させないことの保証」。
協議の結果は、どうだったのでしょうか?
結局、アメリカもNATOもロシアも譲歩せず、
状況は好転しませんでした。
<ロシアの外務次官らは各協議の終了後、
米欧の記者も参加する形での記者会見を開き、
「NATO不拡大の法的保証は絶対に必要」
とロシアの主張を声高に展開した。
旧ソ連構成国のウクライナとジョージア(グルジア)を
「将来の加盟国」としたNATO首脳による2008年の宣言を
今年6月の首脳会議で撤回するよう求めるなど、
要求はエスカレート。
外交交渉がまとまらない場合は「軍事技術的手段を
用いてあらゆる措置を講じる」と脅しをかけた。>
(時事 1月14日)
現状、プーチンの脅しは「空振り」になっています。
▼ロシア、ウクライナ侵攻に向けた情報工作を開始
ところが大問題があります。
プーチンは、「軍事力行使を躊躇しない男」なのです。
彼が軍事力を使った例を見てみましょう。
・第2次チェチェン戦争
・ロシアーグルジア戦争
・シリア内戦への介入
・クリミア併合(戦闘はありませんでしたが、
ロシア軍がバックにいて併合を速やかに行いました。)
・ウクライナ内戦支援(ロシアは、ウクライナからの独立を
目指すルガンスク、ドネツクを支援しています。)
・カザフスタンへの介入(最近、カザフスタンの
大規模デモを鎮圧しました。)
つまり、アメリカ、NATOがロシアの要求を拒否しつづけると、
ロシアがウクライナに侵攻する可能性が高まってくる。
なんのために?
親ロシアのルガンスク、ドネツク州は現状、
「事実上の独立状態」にある。
ここに入ることで、その独立(ウクライナからの独立、
ロシア依存)を確固たるものにする。
ロシアは08年のロシアージョージア戦争後、
ジョージアからの独立を目指す、
アプハジア、南オセチアを「国家承認」しました。
同じようなパターンになる可能性があります。
そして、実際ロシアは、ウクライナ侵攻に向けた情報工作
を開始したようです。
毎日新聞1月15日。
<米ホワイトハウスのサキ報道官は14日の記者会見で、
ロシアがウクライナ侵攻の口実をでっち上げる目的で、
工作員のグループをウクライナ東部に配置しているとの
情報があると明らかにした。>
「ウクライナ侵攻の口実をでっちあげる」とは
どういうことでしょうか?
戦争で、「どっちが先に攻撃したか」は、
とても大切な問題です。
日本も、先にアメリカ(真珠湾)を攻めたので、
「狡猾だ!」といまだにいわれます。
だから、ロシアとしても、
「ウクライナが先に攻撃したから、仕方なく反撃した」
という状況を作り出したい。
そのための工作員なのです。
<工作員らはロシアが後ろ盾となっている武装勢力などに
対して「自作自演」の市街戦や爆破工作を仕掛ける訓練を
受けているという。
サキ氏は「『ウクライナによるロシア側への攻撃が差し迫
っている』と非難し、侵攻の理由にする環境作りをしてい
る」と批判。>(同上)
たとえば、ルガンスク、ドネツクで工作員による爆破が起こった。
ロシアは、「ウクライナ軍がミンスク2停戦合意を破り、
ロシア系住民を大虐殺している!」
と宣言し、ウクライナ侵攻を開始する。
ロシアの動向を注視していましょう。
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