【裏】RPEJournal=======================================
【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.119
2023/2/6
=======================================================
★台湾侵攻リスクは一時減少
全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
今世界には、大きく三つの問題があります。
一つは、ロシアーウクライナ戦争。
特に負けそうになっているプーチンが、戦術核を使うリスク。
二つ目は、中国による台湾侵攻リスク。
三つ目は、北朝鮮暴発リスク。
いずれも重大な問題ですが、
現状「プーチンの戦術核使用リスク」がもっとも重要です。
そして、台湾侵攻リスクですが、短期的には減っているようです。
どういうことでしょうか?
▼プーチンを反面教師とする習近平
「中国が台湾に侵攻したら欧米や日本はどう出るのだろうか?」
これは、「やってみなければわからない」でしょう。
しかし、プーチンのおかげで、
ある程度わかるようになりました。
2022年2月24日、ロシア軍はウクライナ侵攻を開始した。
そして、欧米日は、非常に厳しい制裁を科しました。
ロシアはSWIFTから除外された。
そして、欧州は、ロシアからの石炭、天然ガス、
原油の輸入を(徐々に)止めたのです。
これは、プーチンにとって、とても意外なことでした。
たとえばドイツは、2021年時点で、
天然ガスの55%をロシアから輸入していたのです。
プーチンは、「ドイツは、ロシアへのエネルギー依存度が
高すぎて、厳しい制裁を打ち出せない」と考えていました。
ところが、侵攻から1年後、ドイツはロシアからの
天然ガスなしでもやっていけるようになったのです。
つまりドイツは、1年間でロシアへの天然ガス依存度を
55%減らすことに成功した。
そして、アメリカ、ノルウェー、アラブ首長国連邦など
からの輸入に切り替えました。
もちろん、ドイツでエネルギー価格は暴騰しました。
それでもドイツは、「ロシアなしでもやっていけること」
を示したのです。
何がいいたいかというと、
「欧米日は、ウクライナに侵攻したロシアに
厳しい制裁を科している」ということです。
習近平は、「台湾に侵攻したら、中国も
厳しい制裁を受けるよな」と想像できるでしょう。
もう一つ、欧米は、ウクライナに無尽蔵ともいえる
武器支援を行っています。
それで「世界2位の軍事力」といわれたロシアが、
ウクライナ軍に勝てないでいる。
習近平は、
「欧米が台湾に武器支援するから、
中国軍は苦戦するかもしれない」
と思うでしょう。
さらに決定的なファクターがあります。
バイデンはこれまで、「中国が台湾に侵攻すれば、
アメリカが台湾を守る」と3回明言しているのです。
ということは、習近平は当然
「台湾に侵攻すれば、米軍が出てくる可能性が高いよな。
そうなると、勝てるだろうか?微妙だな」
と考えるでしょう。
それで、
「もう少しきちんと準備してから侵攻した方がよさそうだ」。
こんな教訓を得ていることでしょう。
▼工作の季節
もう一つ。
習近平の目的は、「台湾を統一すること」なので、
方法はどうでもいい。
つまり、武力侵攻にこだわる必要がない。
では、どうするのか?
政界工作、世論工作によって、台湾の民が、
「自発的に」中国との統一を望むようにすればいい。
そして今、中国に「いい風」が吹いています。
なんでしょうか?
昨年11月の台湾統一地方選挙で、
反中蔡英文総統の民進党が大敗し、
比較的親中の野党国民党が大勝したこと。
台湾では2024年1月に、総統選挙が行われます。
中国が敵視する蔡英文さんは、2期務めたので、
次回は出馬できません。
ですから中国は、
「次の総統を親中国民党にしよう」という
政治工作を行っていくでしょう。
というわけで、2024年1月の台湾総統選まで、
中国は表面上おとなしくなるかもしれません。
そして、中国は、日本や欧州に対しても融和的な態度に
変化していく可能性が高いです。
日本は、どう動くべきでしょうか?
実をいうと、ウクライナ戦争で忙しい時に
中国が融和的なのは、日本や欧米にとっても助かります。
もし、ウクライナ戦争の最中に、中国が台湾に侵攻すれば、
アメリカは二正面作戦になって負けるかもしれません。
だから日本政府も、「ウクライナ戦争で大変だから、中国
とは対立しないでいこう」くらいの気持ちでいればいいでしょう。
ただ、中国が接近してくるときには、
「必ず裏がある」ということを、一瞬も忘れてはならないのです。
=======================================================
○メールマガジン「【裏】ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
Copyright (C)RPE JournalAll Rights Reserved. 358
======================================================= |