【裏】RPEJournal=======================================
【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.143
2023/7/3
=======================================================
★「プリゴジンの乱」の背後に軍参謀本部情報総局(GRU)の影?
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
6月23日にはじまり、24日に終わった「プリゴジンの乱」は、
世界に衝撃を与えました。
この反乱の理由、プロセス、結果を知りたい方は、
現代ビジネスの私の記事をご一読ください。
↓
https://gendai.media/articles/-/112450
さて、全体的な流れは、
現代ビジネスを読んでいただければわかりますが、
「わからないところ」もあります。
それは、
・なぜワグネルは、1日でロストフナドヌ、ヴォロネジ、
二つの100万人都市を制圧できたのか?
・なぜワグネルは、1日で
モスクワ200キロ地点まで到達できたのか?
です。
いくらなんでもワグネル25000人(実際には7000〜80
00人だったともいわれている)
が1日で100万人都市を二つも制圧できるのは「不自然」です。
そこででてくるのが、
「軍高官に協力者がいたのではないか?」という説です。
▼消えたスロビキン上級大将
「協力者候補」一人目は、スロビキン上級大将です。
この人は、シリアの内戦で活躍(?)した人。
ロシアは、アサド現大統領を支援しました。
スロビキンは、民間人がいても構わず空爆しまくった。
それで、反アサド派の拠点アレッポを廃墟にしてしまった。
西側はスロビキンを恐れ、「アルマゲドン将軍」と呼びます。
スロビキンは昨年10月、
ウクライナ特別軍事作戦の総司令官に就任しました。
今年1月、ロシア軍のラスボス、ゲラシモフ参謀総長が、
ウクライナ特別軍事作戦の総司令官になった。
スロビキンは、副司令官になりました。
このスロビキン。
「残虐仲間」というのか、非常にプリゴジンと仲がいいのです。
プリゴジンは、スロビキンのことを「ロシア軍の中で、
唯一戦い方を知っている男」と絶賛していました。
スロビキンは、「プリゴジンの乱」当日、
「進軍を止めろ!」という動画を投稿していました。
↓
https://www.youtube.com/shorts/KcyjENZlzr4
しかし、「プリゴジンの計画を事前に知っていた」
あるいは、「プリゴジンに協力した」ことを疑われて、
拘束されているようです。
CNN.co.jp 6月29日
<タイムズ紙によれば、米当局者はプリゴジン氏による先
週末の武装反乱を巡り、ウクライナ侵攻の総司令官を一時
務めたスロビキン上級大将が計画を支援していなかったか
見極めようと試みているという。
スロビキン氏は今年1月、総司令官のポストをゲラシモフ
参謀総長と交代した。
ゲラシモフ氏らロシア軍幹部はプリゴジン氏から、ウクラ
イナ侵攻で「失策」を犯したとの批判を受けている。
タイムズ紙は反乱実行に踏み切ったプリゴジン氏の判断に
ついて、ロシア軍幹部から支援が得られるとの見立てが影
響していた可能性があると報じた。
タイムズ紙はまた、米当局者の話として、他のロシア軍将
官もロシア国防省の指導部を力ですげ替えるプリゴジン氏
の試みを支援していた兆候があると報じている。>
——
▼「プリゴジンの乱」の背後に軍参謀本部情報総局(GRU)の影?
もう一つ、「ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)」が
プリゴジンを支援していた可能性があります。
これは、日本のメディアには出ていません。
ネタ元は、世界の諜報が参考にし、
日本のテレビにも時々出てくる「SVR将軍」です。
まず、「ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)」について。
ロシアには、主な諜報機関が三つあります。
・FSB(連邦保安庁)
・SVR(対外情報庁)
・GRU(軍参謀本部情報総局)
GRUは、要するに「軍の諜報機関」です。
さて、GRUのナンバー2=次官は、
ヴラディーミル・アレクセーエフ。
アレクセーエフは、スロビキン同様、
「反乱を止めるよう」要求する動画を投稿しています。
しかし、とても「おかしな点」があるのです。
以下の動画を見ると、
「ロシア軍は、ワグネルを攻撃しないし、これからも攻撃しない」
と断言しています。
動画↓2分11秒から。
https://www.youtube.com/watch?v=U02axw6icEc
これで、プリゴジンは、安心して進軍することができたの
でしょう。
実際、彼とワグネルは、無血でロストフナドヌを制圧でき
ました。
そして、プリゴジンは、アレクセーエフとロストフナドヌ
で会ったのです。
その映像もあります。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=YBoYuGxp4Tc
プリゴジンはアレクセーエフに、
「ショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を受け取りにきた」
といいました。
つまり、「反乱の目的」を語ったのです。
すると、GRUナンバー2のアレクセーエフは、にっこり微笑み、
「ザヴェライテ!」(持っていってくれ!)
といっている。
SVR将軍は、アレクセーエフの奇妙な言動について、
「GRU幹部が、プリゴジンを支援して、
プーチン政権転覆を狙っていたからだ」
としています。
真偽はわかりませんが、本当にそうだとしたら、
「プリゴジンの乱」は、
非常に大規模なものだったことになります。
そして、この乱は、「案外簡単にプーチン政権は
倒せるかもしれない」ことを示しました。
近い将来「第2のプリゴジン」が登場する可能性が高い。
それで、「プリゴジンの乱」は、
「プーチン政権終わりのはじまりだった」
と、歴史の教科書に書かれることになるでしょう。
=======================================================
○メールマガジン「【裏】ロシア政治経済ジャーナル」
発行者 北野 幸伯
Copyright (C)RPE JournalAll Rights Reserved. 358
======================================================= |