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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.168
2024/1/25
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★北野のお勧め映画
全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
(@一部本と映画のPRが含まれます。)
ここ数年大流行している「説」があります。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、
善のナショナリストで英雄だ!」
というものです。
これに関連して。
「悪の主体」は、以前「国際金融資本」とか
「グローバリスト」とか呼ばれていました。
最近は、「ディープステート」という言葉が大流行しています。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、
善のナショナリストで英雄だ!」
この短い一文の中に、
「正しいこと」と「間違っていること」があります。
まず「正しいこと」。
「プーチンが、グローバリズムと戦っている」
これは、「正しい」といえます。
「陰謀論」のような「本当の話」として、
・ロシアの石油王ホドルコフスキーは、
ジェイコブ・ロスチャイルドと組んで、
プーチンに戦いを挑み負けた
・ジョージ・ソロスは、
旧ソ連圏の「カラー革命」を支援し成功した
などがあります。
長くなるので、詳細には触れません。
山盛り証拠で事実を知りたい方は、
私の過去本、たとえば、集英社から出ている、
◆『クレムリン・メソッド』
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をご一読ください。
全部わかります。
本題に戻ります。
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、
善のナショナリストで英雄だ!」
この文の中で間違っている部分は何でしょうか?
・グローバリズムは悪だが、ナショナリズムは善である
・プーチンは、善なる英雄である
この二つです。
私は、「グローバリズムは善だ」とは言いません。
しかし、「グローバリズム = 悪」だから
「ナショナリズム = 善」とはなりません。
ナショナリズムとはなんでしょうか?
自国を愛する思想のことを、「愛国主義」といいます。
「パトリオティズム」
日本では、この言葉も、「右翼的」と思われがちですが。
実をいうと、もともと悪い言葉ではありません。
「自国を愛する」以外の意味はないからです。
では「ナショナリズム」(民族主義、国家主義、国民主義)
は何でしょうか?
一般的に、「自分の民族(あるいは国)は、
他の民族(あるいは国)よりも優れている」という思想です。
わかりやすく言えば、
愛国主義=パトリオティズム、「日本が好き!」
民族主義=ナショナリズム、「日本(あるいは日本人)は
すごい!(たとえば)中国、韓国は民度が低い!」
ナショナリズムは、
「自分はすごい、他国(他民族)は劣っている」と考えるのです。
ナショナリズムが究極まで過激化すると、
「他民族は劣っているから殺すべきだ」というところまで進みます。
たとえばヒトラーは、「ユダヤ人絶滅政策」を行っていました。
中国の習近平政権は、
21世紀の現在「ウイグル人絶滅政策」を実行しています。
@必読資料↓
『ニューズウィーク 日本版』2020年7月8日
『ウイグル女性に避妊器具や不妊手術を強制──中国政府
の「断種」ジェノサイド』
↓
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/07/post-93907.php
というわけで、
「プーチンは、悪のグローバリズムと戦っている、
善のナショナリストで英雄だ!」
の中で、
・グローバリズムは悪だが、ナショナリズムは善である
というのは、間違いでしょう。
もうひとつ、
・プーチンは、善なる英雄である
プーチンは、確かにナショナリストでグローバリズムと戦っています。
しかし、だからといって
「ナショナリストだから善だ」とはいえないでしょう。
実際彼が統治するロシアでは、どんどん人権状況が悪化しています。
「戦争反対!」
「プーチンは間違っている!」
これを公言しただけで、逮捕され、
懲役15年になる可能性があります。
「プーチン支持者」の人たちは、
「グローバリズムは悪だから、プーチンは善なのだ」
という「信仰」に取りつかれ
プーチンの悪事にまったく気がつかないのです。
さて、「ナショナリズム」に関連して、面白い映画があり
ます。
◆『帰ってきたヒトラー』
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@予告はこちら。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=aNe7vqy7dng
です。
ヒトラーが、2014年にタイムスリップしました。
人々は彼を、「ヒトラーの物まね芸人」と勘違いします。
テレビに出演するようになったヒトラーは、現代のドイツ
国民の共感を得て、大人気になっていくのです。
ポイントは、「ヒトラーの主張は、1930年代1940年代と
変わらないのに、現代の人々が彼に共感する」ところです。
この映画が公開されたのは2016年ですが、
当時欧州は大騒ぎになっていました。
前年の2015年、内戦中のシリアやイラクなどから100万人
を超える難民が、欧州に殺到していたのです。
そして、2015年12月31日から2016年1月1日にかけて、
「ケルン大晦日集団性暴行事件」が起こりました。
これは、アラブ人、北アフリカ人1000人以上が集団で女性
たちに強盗、性的暴行を行った事件です。
参考↓
https://www.bbc.com/japanese/35278497
ドイツ人は、アラブ人、北アフリカ人の移民、
難民に対して激怒しました。
当たり前でしょう。
映画の最後の方でヒトラーは、世界情勢を見て、
「再び自分の時代が来る」ことを確信していました。
この映画が出てから8年が経ちました。
そして、ドイツでは今、極右政党『ドイツのための選択肢』
に反対する大規模デモが起こっています。
『テレ朝ニュース』[2024/01/22 18:43]
〈ドイツ全土で反極右政党デモ 「ドイツのための選択肢
」(AfD)移民排斥の発言めぐり〉
反移民政策などでヨーロッパ各国では極右政党が支持を伸
ばすなか、ドイツでは極右政党の政策に反対する大規模な
抗議デモが実施され、南部の大都市では当局の想定を上回
り約10万人が参加しました。〉
ーー
極右政党「ドイツのための選択肢」は、世論調査で現在2位。
政権を狙える場所にいるのです。
日本も移民政策を間違うと、社会が真っ二つに分断される
ことを、欧米の失敗から学んでおくべきでしょう。
というわけで、ナショナリズム、
ナショナリストの恐ろしさを知るために、
欧州のトレンドを知るために、
◆『帰ってきたヒトラー』
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@予告はこちら。
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https://www.youtube.com/watch?v=aNe7vqy7dng
を見てみてください。
笑えると同時に、怖い映画でもあります。
●PS (PR)
北野の新刊が出ています。
「悪いのはプーチンだ!」
「いや、悪いのはウクライナと、背後にいるアメリカだ!」
単純系の「善悪論」から脱却して、【大戦略的見方】を体
得したい人にお勧めです。
単純善悪論ではなく、
「その考え方で行って、日本は【勝利できますか】?」
と質問してみることをお勧めします。
すると、「敗戦時の日本とまったく同じ主張が流行し
ている」事実に気づくでしょう。
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●●●北野自身の解説動画も参考にしてください。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=ztbH6IP4uxM
●●●元陸将・渡部 悦和先生の書評はこちら。
↓
https://rpejournal.com/review_watanabe_yoshikazu.html
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