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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.207
2024/4/26
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★日本の情報空間の勢力図
全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
(@北野本のPRがあります。)
私は20年ぐらい前から、「情報ピラミッド」という話をしています。
主な情報ピラミッドは、「米英情報ピラミッド」「欧州情報ピラミッド」
「クレムリン情報ピラミッド」「中共情報ピラミッド」「イスラム情報ピラミッド」
などです。
情報ピラミッドが違うと、流れている情報は全然違います。
たとえば、ロシアのウクライナ侵攻。
米英情報ピラミッド、欧州情報ピラミッドでは、「国際法違反の侵略」です。
ところがクレムリン情報ピラミッドでは、
「自衛のためのやむを得ない措置」ということになっている。
「ロシアが侵攻しなければ、ウクライナがロシアに侵攻してきただろう」
という情報が流れ、テレビ世代のロシア国民は信じています。
たとえば、「ナワリヌイが獄死した」件。
米英情報ピラミッド、欧州情報ピラミッドでは、
「北極圏の刑務所に送られ、過酷な環境下で死んだ」、
あるいは「プーチンが命じて殺させた」。
クレムリン情報ピラミッドでは、
「刑務所で勝手に死んだ」「西側諜報機関が殺した」。
というわけで、私は、「いろいろな情報ピラミッドを見てみましょう」と
20年言い続けてきました。
ちなみに「日本情報ピラミッド」はありません。
戦後、日本は「米英情報ピラミッド」に組み込まれたのです。
だから、日本国民は、インターネットが一般的になるまで、
「米英の支配者層に都合のいい情報」だけを信じていました。
今は、どうなのでしょうか?
日本の情報空間、特にテレビは相変わらず
「米英情報ピラミッド内にある」と言えるでしょう。
2番目の勢力は、「中共情報ピラミッドかな?」と思いきや
「クレムリン情報ピラミッド」です」。
テレビを見ていると、親中的な発言は、ほとんど出てきません。
むしろ「台湾有事」「尖閣有事」「中国とフィリピンの戦い」
「中国不動産バブル崩壊」「中国経済不調」
「中国警察が外国に支部を置いている」などなど、
ネガティブな情報が多く、肯定的な情報は、ほとんどありません。
なぜ、こんなことになったのでしょうか?
私が思うに、「米中関係が変化したこと」が理由だと思います。
米中関係は、1970年代はじめにニクソンと毛沢東が
和解した後、ずっと良好でした。
1989年の天安門事件と1991年のソ連崩壊で、
米中関係は一時危機に陥ります。
しかし、1993年から2015年ぐらいまでは、
良好な関係に戻っていました。
2015年に「AIIB事件」があり米中関係は一気に悪化。
2018年、ペンス副大統領の「反中演説」から
「米中覇権戦争」が始まりました。
このあたりから、日本国内の親中派も徐々に衰えていった感じです。
つまり、「米英情報ピラミッド内」にある日本で
「親中派が元気でいる」ためには、
「米英と中国の関係が良好であること」が必要なのです。
しかし、米英が中国と覇権戦争をはじめたので、
「米英情報ピラミッド内」にある日本で、
親中発言をする人が減っていった。
私は、こう見ています。
さて、2番目の勢力「クレムリン情報ピラミッド」は、
主にネットで影響を拡大しています。
「プーチンは、悪のグローバリストと戦う善なるナショナリストの英雄だ!」
という大前提を基に情報を発信している。
そして、
「ウクライナ戦争で悪いのはロシアではない。
グローバリストのアメリカとその手先ウクライナだ!」
という説を流布し、驚くべき影響力を確保しています。
なぜクレムリン情報ピラミッドは、影響力を増しているのでしょうか?
もちろん、「ウクライナ戦争」が関係しているのでしょう。
「悪いこと」をしたロシアは、一生懸命情報戦に取り組むことで、
失墜した国際社会における信用を取り戻そうとしている。
頻繁に書いているので今回は書きませんが、
ロシアが流布している説は、「自国に都合の良い事実だけ流布し、
都合の悪い事実は一切語らない」というスタイルです。
それで、だまされてしまう人がかなりの数います。
裏メルマガの読者さんの中にも、
「プーチンは、悪のグローバリストと戦う善なるナショナリストの英雄だ!」
と信じている人がいるかもしれません。
それはそれとして、少なくとも、
この情報の出所が「クレムリンなのだ」ということは知っておいてください。
多くの人が、米英情報ピラミッドに支配されている
日本の情報空間に嫌気がさしていました。
アメリカも、国際法違反の戦争をしていました。
そう、イラク戦争です。
そして、アメリカの諜報機関は、
世界中のどの人も、その気になれば盗聴できることがわかりました。
スノーデンが暴露したからです。
それで、「諸悪の根源はアメリカだ!」と考えた人がたくさんいた。
彼らは、「正反対の情報」を探しはじめました。
そして、見つけたのです。
その情報空間の中では、
アメリカは悪であり、イラク戦争は悪の戦争でした。
欧米諜報機関の闇を暴露したスノーデンやアサンジは、
犯罪者ではなく英雄でした。
彼らは、「ここに真実がある!」と確信し、妄信していった。
それが「クレムリン情報ピラミッド」だったのです。
「米英情報ピラミッド教」を脱退した彼らは、
知らないまま「クレムリン情報ピラミッド教」に入信した。
私たちは、「米英情報ピラミッド」「クレムリン情報ピラミッド」
「欧州情報ピラミッド」「中共情報ピラミッド」「イスラム情報ピラミッド」、
全部見るべきです。
しかし、どこかの情報ピラミッドに「入信」したら世界は見えなくなります。
全部上から眺め、「へえ~~~~このピラミッドでは、
この事件をこんな風に報じているんだ~」と距離を置いて、
冷静に見るべきなのです。
すべての情報ピラミッドを超越してこそ、世界の本当の流れが見えてきます。
◆PS
たとえばウクライナ戦争について。
テレビで流れているのは、「米英情報ピラミッド」の情報です。
ネットで猛威をふるっているのは、「クレムリン情報ピラミッド」の情報です。
両方の情報を超越した「真相」を知りたい方は、北野の新刊をご一読ください。
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