◆ 裏RPE

本文へジャンプ  

 

【裏】RPEJournal=======================================



     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.273


                    2024/9/20


=======================================================
★北野が卒業した大学について



全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



(@北野の講座のPRがあります。)



私が卒業した大学は、
「モスクワ国際関係大学」(MGIMO)といいます。

この大学は、ソ連外務省付属でしたが、
ソ連崩壊後ロシア外務省付属になりました。

私はこの大学を卒業した初めての日本人になります。

1996年に政治学修士号を取得しました。


日本ではあまり知られていないモスクワ国際関係大学。

どんな人が卒業しているのでしょうか?

卒業後、旧ソ連圏の大統領になった人が二人います。


一人は、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領です。

アゼルバイジャンは、隣国アルメニアと、
しばしばナゴルノカラバフの支配権をめぐり争ってきました。

2023年9月の戦争でアゼルバイジャンは圧勝。

ナゴルノカラバフの支配権を完全に取り戻し、
長年つづいたこの紛争を終わらせました。

一方、アルメニアは、ロシア主導の軍事同盟CSTOが
助けてくれなかったことに激怒。

CSTO脱退を表明し、ロシア離れを加速させています、


もう一人は、中央アジア・カザフスタンの
トカエフ大統領です。

カザフスタンはソ連崩壊後、ナザルバエフ大統領による
独裁体制が続いてきました。

しかし2019年、ナザルバエフは、
トカエフに大統領の座を譲ります。

とはいえナザルバエフは、権力を失う気は全然なく、
「院政」を行ってきたのです。

ところが、トカエフは2022年初、ナザルバエフの影響力を
ほぼ一掃することに成功しました。

これから彼は、ナザルバエフのような
独裁者になっていくのでしょうか?

注目されています。


他にモスクワ国際関係大学の卒業生は、

・ゴズイレフ元外相

・ラブロフ外相

・イリュムジーノフ前カルムイキヤ共和国大統領

・ヴァイノ大統領府長官(私と同じ96年卒です。)

・ウスマノフ 新興財閥、 USM Holdings創業者

・スルコフ 元副首相

・ポターニン 新興財閥、インターロスグループ創業者、
90年代、ロシアを支配する「7人に銀行家」の一人に
数えられていた

・ムラデエフ 元ブルガリア大統領

・ニコライ・ノズドレフ 現ロシア大使


などなど。

こんな感じで、いろいろな分野で
モスクワ国際関係大学卒業生は活躍しています。


「ロシア外務省付属の大学って、どんな教育なんですか?」


とよく質問されます。

いろいろ日本と違うところがありました。

まず、テスト。

テストで筆記試験は、ほとんどありませんでした。

ほとんど口頭試験です。

テストになると、学生が廊下にたむろしています。

そして、呼ばれたら教室に入り、
机に並べられている紙をくじのように引きます。

紙の裏には、質問が書かれている。

座って少し準備し、できたら教授のところにいって、
口頭で説明するのです。

マークシートや年号を聞かれる問題は全然ないので、
全体の流れをきちんと把握し、自分の言葉で
話す必要がありました。


そして、授業の内容です。

私が卒業したのは、「国際関係学部」です。

当時は他に、「国際ジャーナリズム学部」「国際経済学部」
「国際法学部」がありました。

「国際関係学部」は、「外交官になりたい人」が学ぶ学部です。

それで、歴史、現在の国際関係についても、
いろいろ学びました。

興味深かったのは、
「この時、ソ連(あるいはロシア)の国益は何か?」とか
「その国益をゲットするためにはどうすべきか?」と、
毎日毎日考えさせられたことです。

その時、つまり90年代、日本では「国益」という言葉は、
「右翼用語」でした。

私は、「おもしろいな~」と思いながら
授業を受けていました。

それで、「国益とは何か?」
「その国益をゲットするためにどうすればいいか?」と
自問するようになりました。

私は卒業後ずっと、「日本の国益とは何か?」
「その国益をゲットするためにはどうすればいいか?」と
自問しつづけています。


もう一つ。

日本では、「歴史に if はない」といいます。

これ、本当に馬鹿げていると思います。

モスクワ国際関係大学では、
いつも「この時どうすればよかったのか?」と、
別の決断の可能性と結果について考えさせられました。

日本では、たとえば先の大戦についても、
「あの時別の決断をしていれば」と考えることは、
ほとんどありません。

その結果、先の大戦について、
「なぜ負けたのか?」「どうすれば勝てたのか?」
という考察が全然されていないのです。

そして、
「日本が悪いから負けた」「日本人が悪いから負けた」
という、はっきりいえば「幼稚園レベルの説明」で
納得している人がほとんどなのです。


これは、大問題です。

なぜなら、先の大戦で負けた理由の分析が
行われていなければ、「また負ける行動をする可能性」が
でてくるでしょう。


私は、皆さんに過去のできごとについて、
常に「もし〇〇したら」と考えて欲しいと思います。

常にそう考える癖づけをすることで、
最適解を導き出すことができるようになるでしょう。


ちなみに、あなたの大局観、
分析力と予測力を飛躍的に高める講座があります。

私が、「モスクワ国際関係大学の授業を思い出しながら」
作成したものです。

動画をごらんになり、「必要だ!」と思われた方は
入手してみてください。

詳細はこちら。↓
https://in.powergame.jp/kiif1_2409_vsl?cap=kmag

@@@補足

「戦争をしている国の外務省付属大学の教えなど
役に立つの?」と思う方もいるでしょう。

モスクワ国際関係大学の学生、卒業生1400人は、
2022年3月、「ウクライナ侵攻に絶対反対!」という
公開書簡をプーチンに送っています。

しかし、ロシアの「戦術脳」大統領は、
この公開書簡を無視し、破滅的な戦争をつづけています。








PS

北野の新刊、快調に売れ続けています。


◆『プーチンはすでに、戦略的には負けている 
~  戦術的勝利が戦略的敗北に変わるとき 』

詳細は↓
https://amzn.to/3JWfTnD


すでに読まれた方は、アマゾンにレビューを
投稿していただけると、とても助かります。

なにとぞよろしくお願いいたします。


=======================================================


○メールマガジン「【裏】ロシア政治経済ジャーナル」


発行者 北野 幸伯


Copyright (C)RPE JournalAll Rights Reserved. 358


=======================================================

HOMEプロフィール北野の声読者の声北野の夢北野が登場したメディア北野が登場した動画裏RPEバックナンバー