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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.283
2024/10/2
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★なぜ彼女は未来を見通せたのか?
全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!
北野です。
1990年から2018年までモスクワに住んでいた私の感覚では、
プーチン1期2期(2000~2008年)は、彼の栄光時代でした。
1991年12月、ソ連が崩壊した。
その後、新生ロシアのGDPは、1998年までで43%も減少したのです。
ところがプーチンが2000年に大統領になると、年平均7%の
成長をつづけるようになり、ロシア経済は大復活しました。
2007年頃になると、プーチンもロシア政府高官も増長する
ようになり、「ルーブルを世界通貨にする!」などという
ようになりました。
2008年、プーチンは大統領を辞め、首相になりました。
大統領になったのは、子分のメドベージェフでした。
メドは2008年から2012年まで大統領を務め、
この時期ロシアとアメリカの関係は、劇的に
改善されたのです。
この期間を「米露再起動時代」と呼びます。
しかし、2012年、プーチンが大統領に返り咲きました。
私が見るに、当時プーチンの支持率は依然として
高かったです。
2011年12月、「下院選挙で不正があった」と確信する人、
「プーチンが戻ってくることに反対する人」たちが、
大規模なデモを行いました。
下の映像をみてください。↓
https://www.youtube.com/watch?v=kuDZzVIrkwQ
2分10秒ぐらいから見ると、デモ参加者の多さに驚くでしょう。
とはいえ、社会全体では、「ロシア経済を復活させてくれた
プーチンでいいじゃないか」という感じでした。
しかし、当時から「プーチンが大統領だったら大変なことが
起こる!」と強く主張していた女性がいました。
身元が特定されると危険なので、
仮にアンナさんとしておきましょう。
2013年、アンナさんはモスクワ大学の学生でした。
小さい頃から「神童」と呼ばれた天才少女。
この年、モスクでは市長選挙があり、アンナさんは、
後に「プーチン最大の敵」と呼ばれるようになった
故ナワリヌイを支持していました。
私は、友人の誕生日会で彼女に会ったのですが、
アンナさんは、プーチン支持と彼の手下の現職
ソビャーニン市長を支持する母親と論戦を繰り
広げていました。
当時のロシアでは、公衆の面前で
政治討論ができたと思うと「なつかしい」です。
今のロシアでそれをやれば、「反プーチンの人」は、
ほぼ確実に逮捕されます。
アンナさんの論理は、明快でした。
「プーチンは、人権を侵害し、言論の自由をなくし、
民主主義を破壊している!」と。
これに対して、プーチン支持の大人たち(全員)は、
「アンナは、子供だから大人の世界のことがわからない。
きれいごとだけでは世界に通用しない」と冷笑したのです。
そう、私たちは大人になるにつれ、
「この世の中はきれいごとだけでは通用しない」と知り、
「やっぱり清濁併せ呑む人にならないとね~~~」
などと考え始めます。
正直言うと、リアリストの私たちも、
「国際機関、国際法、経済相互依存を強めることで
世界は平和になる」という理想主義的考えを
「あまい!」と考えます。
そうではなく、この世界がカオスであることを認めたうえで、
「勢力均衡(バランス・オブ・パワー)を目指そう」と。
大人たちは、極めて理想主義的なアンナさんの言葉を、
「世間知らずなおばかちゃん」と笑っていました。
ところが、その後の経緯をみると、
彼女の予測が一番正確だったことがわかります。
2014年3月、プーチンは、ウクライナからクリミアを奪いました。
2017年、インターネット規制が強まりました。
(それで私は、2018年初、完全帰国を決断しました。)
2018年3月、プーチンは年次教書演説で、
「アメリカを核攻撃するシミュレーション映像」を流し、
世界を仰天させました。
『ハフポスト』2018年3月2日付。
〈ロシアのプーチン大統領は3月1日、モスクワで年次教書演説を行う中で、アメリカのフロリダ半島を核攻撃するイメージ映像を流した。〉
ーー
2022年2月、プーチンは、ウクライナ侵略を開始しました。
ちなみにアンナさんは今、身の危険を感じて、
外国に逃げています。
彼女は、なぜ未来を正確に見通せたのでしょうか?
大人たちと違って、「言論の自由がなくなっていること」
「人権侵害が起こっていること」「ロシアが民主主義的では
なくなっていること」を、「メチャクチャおかしい!」と
思ったのでしょう。
彼女は、こういう問題について、大人と違って潔癖だった。
だから、プーチン政権がおかしくなっていることに
強い違和感を持っていたのでしょう。
私たちの教訓は何でしょうか?
「悪は、抵抗がなければどこまでも大きくなる」
ことを覚えておく必要があるでしょう。
たとえば、(いつものように)税金問題。
「増税クソメガネ」と呼ばれた岸田さんは、
・防衛費 1兆円 (=所得増税、法人増税、たばこ増税)
・少子化対策 1兆円 (=医療保険料に上乗せ)
・脱炭素 1兆円 (=化石燃料賦課金)
計3兆円国民負担を増やすことを決めました。
石破さんはさらに、「法人税増税」「金融所得税増税」を
実施する方針です。
なぜ、政府はどんどんどんどん増税することが
できるのでしょうか?
そう、国民が抵抗しないからです。
だから政府は、「増税しても国民はだまっている。
じゃあもっと税金を上げよう」となり、
延々と増税をつづけていきます。
ですから、アクションを起こして、苦しさ、不満、
怒りなどを、政府に伝える必要があるのです。
では、具体的に何をすればいいのでしょうか?
石破さんは昨日、総理大臣に就任しました。
私の話を読んで、「その通りだ」と思われた方は、
総理官邸にメールしてみましょう。
誰でもとても簡単に、自分の意見を総理に
伝えることができます。
↓
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
もう一つ、10月27日の選挙で、増税路線の石破自民党や
野田立憲民主以外の、「減税を掲げる政党」に入れるのも
手です。
調べてみると、日本維新の会は消費税率を
10%から8%に下げるとしています。
一方、国民民主は消費税率を10%から5%まで下げ、
さらに所得税減税、法人税減税も行うとしています。
是非研究してみてください。
現状自民党の支持率は31%。
2位立憲民主に約5倍の差をつけています。
それで、自民党が第一党から落ちるという
シナリオは考えにくいです。
しかし、自民党が大きく議席を減らせば、
「大増税路線」の石破さんも、少しは
考え直すかもしれません。
PS
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◆『プーチンはすでに、戦略的には負けている
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なにとぞよろしくお願いいたします。
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