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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.4


                      2020/3/15


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★プーチンは(結局)終身大統領になることを選んだ


全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。


世界中、新型コロナウイルスの話ばかりです。

それでかすんでしまっていますが、とても大きなできごと
がありました。

プーチンは、2024年の後に「院政」することをやめ、その
後も大統領でいることを選んだ。

実質「終身大統領」への道を開いたことになります。

どういう経緯でそうなったのでしょうか?


▼プーチンの憲法改定案


2000年に大統領になったプーチン。

当時の任期は4年でした。

そして、憲法の規定により「連続2期まで」。

プーチンは、2000〜2008年大統領を務め、一度引退しまし
た。

08〜12年、子分のメドベージェフが大統領だった。

プーチンは、首相でした。

メドは、大統領になると、「次の大統領から、任期は6年
とする」という憲法改定を実施。

2012年、プーチンは、大統領に返り咲きました。

任期は、4年ではなく、6年になっています。

2018年、再選されました。

現在の任期は、2024年までです。


「プーチンは、その後どうするんだ?」


まだ4年も先の話ですが、独裁国家ロシアでは、これが一
番の話題なのです。

今年1月15日、メド内閣が総辞職しました。

プーチンが、メドを首にしたわけですね。

同日、プーチンは、「憲法改定案」を提示します。


内容は、

「大統領任期を『連続2期』ではなく『通算2期』とする」

つまり、プーチン後に大統領になる人は、2期やって、1期
休んで、また2期やる、「プーチン方式」ができなくなる。


そして、「国家評議会の権限を強化する」。

国家評議会は、今もありますが、「諮問機関」で実質的権
限がない。

プーチンは、これを強化する。


大統領ではなく、議会が首相候補を選び、大統領が任命す
る。

大統領は、議会が選んだ首相候補を拒否できない。


これらの改定案をプーチン自身が提案した。

それで、「嗚呼、プーチンは2024年に引退し、新国家評議
会の長として、院政を敷くつもりなのだ」

との観測が強まっていきました。

ところが・・・・。


▼プーチンは(結局)終身大統領になることを選んだ


3月11日、大事件が起こりました。


<ロシアの改憲法案が下院通過 プーチン氏の任期撤廃

産経新聞 3/11(水) 19:20配信

【モスクワ=小野田雄一】ロシア下院は11日、憲法改正
法案を審議する3度目の読会(本会議)を開き、プーチン
大統領の5選出馬を可能にする改憲法案を可決した。

プーチン氏のこれまでの大統領任期を帳消しにする内容は
10日の第2読会で突如、法案に追加された。

プーチン氏は第2読会での演説で「現在のロシアには(政
権交代よりも)安定が重要だ」と述べ、5選への決意表明
とも取れる発言をした。>


これだけ読んでも、意味がわかりません。

「読会」とはなんでしょうか?

ロシアで、何かの法律について審議するとき「第1読会」
「第2読会」「第3読会」という言葉が使われます。

意味は、第1読会で、基本方針を定め、2、3読会でどんど
ん詳細を詰めていく。


<しかし、10日の第2読会で与党「統一ロシア」の女性
議員が、任期制限を撤廃するか、新憲法の発効時に大統領
の過去の任期を「ゼロ」に戻すべきだと提案。

その後に演説したプーチン氏は任期制限の撤廃に反対する
一方、任期の帳消しに関しては「国民投票で賛意が示され、
憲法裁判所も違憲と判断しなければ、可能だろう」と述べ
た。>(同上)


「新憲法発効時に大統領の過去の任期を『ゼロ』に戻すべ
きだ」そうです。

プーチンはすでに4期目ですが、憲法が新しくなるので、

「1回もやってないことにしよう」というのです。


ハチャメチャですね。

独裁国家では、こういうハチャメチャもOKということにな
ってしまう。

これについてプーチンは、


「国民投票で賛意が示され、憲法裁判所も違憲と判断しな
ければ、可能だろう」


一応、民意と憲法裁判所を重視する姿勢を見せ、「合法性
」をアピールした。

しかし、国民投票の結果は、「数える人が決める」。

憲法裁判所のメンバーは、命が惜しいので、プーチンの決
定に逆らえるはずがありません。

この憲法改定案が国民投票で承認されると(承認されるは
ずですが)

プーチンは、2024年から、さらに12年大統領でいることが
可能になります。。

なんと2036年まで!

1952年生まれのプーチンは、84歳まで大統領でいられる。


実質「終身大統領への道を開いた」といえるでしょう。


結局、プーチンも、習近平と同じになってしまいました。

とはいえ、ロシアの大統領選は、4年後。

4年あれば、何が起こるかわかりません。

観察をつづけていきましょう。






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発行者 北野 幸伯


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