【裏】RPEJournal=======================================
【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.43
2020/8/26
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★ベラルーシ情勢と2014年ウクライナ革命の違い
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
今回の話は、
◆裏RPE42号 2020年8月19日
ベラルーシで革命が起こる?
の続きになります。
まだの方は、まずこちら↓からご一読ください。
https://rpejournal.com/urarpe42.html
ざっくり復習から。
8月9日、ベラルーシで大統領選挙がありました。
現職のルカシェンコさんが、80%の得票率で、【 6選 】
を果たした。
この結果を信じられない民衆が、「選挙やり直し」を求め、
大規模デモ起こった。
それは、現在もつづいています。
▼ベラルーシの地政学的位置
ベラルーシの南隣は、ウクライナです。
ベラルーシもウクライナも、旧ソ連の国。
ロシア人から見ると、「かつて自分の領土だった国々」と
なります。
(ロシア人の頭の中では、ソ連=ロシア帝国である。)
そして、ウクライナもベラルーシも、
「欧州とロシアの真ん中」にあります。
ロシアは、「ウクライナとベラルーシは、
欧米の侵略を防ぐ緩衝国家だ」と考える。
欧州は、「ウクライナとベラルーシは、
ロシアからの侵略を防ぐ緩衝国家だ」と考える。
それで、、欧米とロシアの取り合いが発生する。
地政学的に、非常に不幸なポジションにあるのです。
▼2014年ウクライナ革命
ベラルーシの南隣の国ウクライナで2014年2月、
革命が起こりました。
そして親欧米政権が誕生した。
このウクライナ革命。
「アメリカがやったのですよ」と日本でいえば「陰謀論者」
でしょう。
しかし、これは事実です。
実をいうと、オバマ自身が、
「あれはアメリカがやったのだ」と公言してます。
「ロシアの声」2015年2月3日付から。
<オバマ大統領 ウクライナでの国家クーデターへの米当
局の関与ついに認める
昨年2月ウクライナの首都キエフで起きたクーデターの
内幕について、オバマ大統領がついに真実を口にした。
恐らく、もう恥じる事は何もないと考える時期が来たのだろう。
CNNのインタビューの中で、オバマ大統領は「米国は、
ウクライナにおける権力の移行をやり遂げた」と認めた。
別の言い方をすれば、彼は、ウクライナを極めて困難な状
況に導き、多くの犠牲者を生んだ昨年2月の国家クーデタ
ーが、米国が直接、組織的技術的に関与した中で実行され
た事を確認したわけである。
これによりオバマ大統領は、今までなされた米国の政治家
や外交官の全ての発言、声明を否定した形になった。
これまで所謂「ユーロマイダン」は、汚職に満ちたヤヌコ
ヴィチ体制に反対する幅広い一般大衆の抗議行動を基盤と
した、ウクライナ内部から生まれたものだと美しく説明さ
れてきたからだ。>
「う~む本当だろうか~~???」
それでも信じることができない人は、「You Tube」で
「Obama admits he started Ukraine revolution」
を検索してみてください。
この革命で、「親ロシア」のヤヌコビッチ政権が倒れました。
プーチンのリアクションは、苛烈でした。
革命翌月の2014年3月、ロシアは、ウクライナからクリミアを奪った。
2014年4月、ウクライナ東部ルガンスク州、ドネツク州(
いわゆる東部「親ロシア派」)が独立宣言。
ウクライナ新政権は、当然2州の独立を認めず、
内戦が勃発しました。
このウクライナ革命では、
アメリカ、欧州は、積極的に親米反ロシア新政権を支援していた。
ロシアは、革命の復讐として、クリミアを奪い、東部2州
を事実上の独立に導いた。
ウクライナは、革命の代償として、クリミア、ルガンスク、
ドネツクを、事実上失ったのです。
▼ベラルーシ情勢に対する、欧米ロシアの態度
さて、ベラルーシについてはどうでしょう?
まず、プーチン・ロシア。
産経新聞8月17日を見てみましょう。
<ロシアのプーチン大統領とルカシェンコ氏は15、16
日の連日、電話会談し、デモには「国外勢力の関与」の可
能性があるとし、事態収束へ協力することで一致した。
現地報道によると、ルカシェンコ氏は外国の軍事的脅威を
受けた場合、「ロシアが全面支援する」と明らかにした。
両国は露主導の「集団安全保障条約機構」(CSTO)に
加盟。
同機構は加盟国に国外勢力が介在した政権転覆などの脅威
が発生した場合、軍事を含む相互援助を行うことを定める。
>
最後の部分、重要です。
集団安全保障条約機構」(CSTO)は、
<加盟国に国外勢力が介在した政権転覆などの脅威が発生
した場合、軍事を含む相互援助を行うことを定める。>
たとえば、大規模デモでルカシェンコ政権が倒れそうにな
った。
するとプーチンは、「欧米がクーデターを起こした!」と
いう大義名分で、
軍隊を派遣してルカシェンコを守るかもしれない。
ウクライナ革命後のプーチンのリアクションを思い出せば、
「彼ならきっとやるに違いない」と思えるでしょう?
メルケルさんやマクロンさんも、きっとそう思っているはずです。
それで、ドイツもフランスも、露骨な介入ができません。
問題は、ウクライナ革命を起こしたアメリカです。
アメリカの態度はどうなのでしょうか?
これは、ウクライナの時と比べると、全然積極的ではない。
なぜでしょうか?
第1の理由は、トランプが、そもそも親ロシア、親プーチン
であること。
米ロ関係は民主党、議会が邪魔をするので悪いまま。
しかし、トランプが親ロシア、親プーチンなのは、ずっと
一貫しています。
第2の理由は、ベラルーシが、「最重要課題でない」こと。
皆さんご存知のように、アメリカは今中国と覇権戦争の真
っ最中。
中国を退治しなきゃいけないので、ベラルーシを支援して、
ロシアを怒らせるわけにいかないのです。
というわけで、アメリカは「ベラルーシ革命」に興味がない。
テレ朝ニュース8月26日を見てみましょう。
<モスクワで25日、ロシアのラブロフ外相とアメリカの
ビーガン国務副長官が会談しました。
ロシア外務省によりますと、ラブロフ外相はアメリカなど
が検討しているルカシェンコ政権への経済制裁について
「容認できない」と主張しました。
そのうえで「反体制デモの支援などでベラルーシの内政に
干渉すべきでない」とアメリカ側を強く牽制(けんせい)しました。
モスクワのアメリカ大使館によりますと、ビーガン氏はベ
ラルーシ治安当局による市民への暴力を非難しました。
ただ、アメリカ側から反体制派が辞任を求めているルカ
シェンコ氏の進退に踏み込んだ発表はありませんでした。>
最後が重要です。
「ルカシェンコ氏の進退に踏み込んだ発表はありませんでした」
なぜ?
アメリカにとってベラルーシ問題は、最優先課題ではないから。
ベラルーシ情勢はこれからどうなっていくのでしょうか?
はっきりは、わかりません。
しかし、ルカシェンコの後ろにはプーチンがいる。
反体制派の後ろにいる欧米は、あまりやる気がない。
そういう現実があります。
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