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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.45
2020/9/8
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★ナワリヌイ暗殺未遂事件で【ノビチョク】が使われた
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
今回の話は、表メルマガ8月23日号のつづきです。
まだの方は、まずこちらからご一読ください。
理解が深まります。
↓
https://www.mag2.com/p/news/463282
ざっくりいうと、反プーチンの活動家ナワリヌイさんが
8月20日、飛行機の中で意識不明の重体になった。
ロシアの病院に運ばれましたが、ナワリヌイの奥さんは、
「ロシアの病院にいると殺される」と考え、ドイツへの移送を主張。
ロシア側は当初反対していましたが、
大騒ぎになってきたので、許可を出しました。
ナワリヌイさん。
日本では、あまり知られていません。
ロシア一の政治ユーチューバーで
チャンネル登録者数が396万人。
メドベージェフ前首相が王様並みの別荘を複数所有して
いることを暴露した動画「オン、ヴァム、二、ディモン」
で、世界中に知られることになりました。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=qrwlk7_GF9g&t=619s
これ、ロシア語がわからなくても、見てみてください。
別荘群の豪華さに卒倒することでしょう。
この動画で、「真相究明を求める」大規模デモが起こった。
プーチン政権は、「完無視」することで、危機を乗り切りました。
しかし、政権のダークサイドが知れ渡ったことで、
深いダメージを負ったのです。
ナワリヌイ、「過大評価だ!」という人もいますが、私は
ロシア国内において、「プーチン最大の敵」と認識してい
ます。
▼暗殺未遂では、「ノビチョク」が使われた
皆さん、2018年3月に起きた、
「スクリパリ事件」を覚えておられるでしょうか?
スクリパリは、ロシアの諜報員でしたが、イギリス諜報と
もつながっていた。
いわゆる「ダブルスパイ」ですね。
ロシア諜報から見ると、「裏切り者」になります。
そのスクリパリさんと娘のユリヤさんがイギリスの
ソールズベリーで暗殺未遂にあった。
その時、化学兵器の軍用神経剤「ノビチョク」が使われた
といわれています。
今回のナワリヌイ暗殺未遂事件でも、
同様の神経剤が使われたようです。
<反政権指導者にサリンより強力な毒物…独首相、
露に真相究明要求へ
読売新聞オンライン 9/3(木) 13:35配信
【ベルリン=石崎伸生、モスクワ=田村雄】ドイツのメル
ケル首相は2日、ロシアの国内便機内で重体となった反プ
ーチン政権運動指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏について
、旧ソ連が開発した神経剤ノビチョクと同系統の毒物が使
われたと発表した。>
<メルケル氏は記者会見で、「ナワリヌイ氏はノビチョク系の
神経剤を使った攻撃の被害者だ。最も強い言葉で非難する」
と述べた。
露国内でプーチン政権が関与したとの疑惑があることを念頭に、
「ロシア政府だけが回答可能で、答えなければならない重大な
問題だ」と指摘した。>
ドイツ政府の発表を受けて、大物たちが、
ロシアを非難しています。
<独政府の発表を受け、欧州連合(EU)のジョセップ・
ボレル外交安全保障上級代表(外相)は
「化学兵器の使用はいかなる状況でも決して受け入れられ
ず、国際法違反だ」
と非難した。
英国のドミニク・ラーブ外相は2日、声明を発表し、
「禁止されている化学兵器が再び使われたことは
到底受け入れられない」
として露政府に説明を求めた。
米ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)も2日、
「完全に非難に値する。
証拠に基づき、ロシアで関与した者に責任を負わせる」
との声明を出した。>(同上)
▼ドイツは、ガスパイプライン計画を中止するか?
この件、ロシアに対しアメリカは、厳しい制裁をしない感じです。
なぜか?
まず、トランプさんは、一貫して親ロシア、親プーチンである。
二番目に、彼は選挙戦で忙しい。
三番目に、今は米中覇権戦争の真っ最中。
だから、中国とロシアを同時に敵に回したくない。
一方、欧州は、強い制裁の検討に入っています。
それがロシアとドイツを結ぶガスパイプライン「ノルドス
トリーム2」計画の中止。
<パイプライン建設停止、排除せず ドイツ、暗殺未遂で
対ロシア制裁検討
9/7(月) 20:30配信
【ベルリン時事】ドイツ政府のザイベルト報道官は7日、
ロシア当局の関与が疑われる同国の反体制派指導者アレク
セイ・ナワリヌイ氏の暗殺未遂事件を受け、制裁措置とし
てロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドス
トリーム2」建設の停止も排除しないという立場を示した。
>
これは、なんでしょうか?
「ノルドストリーム 2 」ということは、
「ノルドストリーム 1 」もあるのでしょうか?
あります。
2011年から稼働しています。
独ロを結ぶ海底パイプライン「ノルドストリーム」は、
「ウクライナはずし」のためにつくられました。
04年、ウクライナで革命が起こり、親米ユーシェンコ政権
ができた。
ロシアのガスはそれまで、主にウクライナを通過して欧州
に供給されていた。
しかし、ロシアとウクライナの関係が悪化することで、時
々ロシアー欧州のガスが止まるようになった。
ドイツとロシアは、「ウクライナ情勢に左右されない
パイプラインを築くこと」で利害が一致。
それでつくられたのが「ノルドストリーム」なのです。
2016年からは「ノルドストリーム」に並行する
「ノルドストリーム2」の建設がはじまりました。
2019年に完工予定でしたが、遅れています。
理由は、アメリカが妨害すること。
アメリカのシェールガスを欧州に売りたいトランプは、
この計画に大反対。
「アメリカは大金を出してNATOを支え、ドイツを守って
いる。
しかし、ドイツは、ロシアからガスを買うことで、ロシア
に大金を渡している」
と非難しています。
アメリカは、ノルドストリーム2プロジェクトに関わって
いる企業に制裁を科し、建設がストップしているのです。
すでに、建設の90%以上は終わっているといわれます。
そして、メルケルさんはこれまで、
「必ずこのパイプラインを完成させる!」
という意志を示しつづけてきました。
しかし、ナワリヌイ暗殺未遂事件を受けて、態度を変える
かもしれません。
というのは、ロシアに対して強い態度に出なければ、
「何も変わらない」という焦りがあるからです。
ロシアがらみの暗殺、あるいは暗殺未遂事件といえば、
ロシアの元諜報員リトビネンコ、スクリパリ、娘ユリヤ
などが有名です。
しかし、実をいうと、ドイツ国内でも人が殺されています。
AFP2019年12月5日。
<ドイツ外務省は4日、ロシアの外交官2人を国外追放
したことを発表した。
ドイツの首都ベルリンでは今年8月、ロシアのチェチェン
(Chechen)共和国の元反体制派指揮官が射殺される事
件が発生。
ドイツ検察当局は外務省の発表に先立ち、殺害の背後
にロシア政府がいた可能性を指摘した。
殺害されたのは、ジョージア人の
ゼリムカン・カンゴシュビリ(Zelimkhan Khangoshvili)氏(40)。
同氏は8月23日、ベルリン市内にある
クライナーティアガルテン(Kleiner Tiergarten)公園で、
至近距離から頭を2度撃たれた。>
というわけで、メルケルさんは、「ロシアの行動を変える
ために、痛みを伴う制裁を」となるかもしれません。
今後の推移を見守っていきましょう。
●PS
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