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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.50


                      2020/10/11


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★アジア版NATOが生まれる日



全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。



欧州を見ると、北大西洋条約機構(NATO)があります。

30か国からなる超巨大軍事ブロックが、ロシアの脅威から
欧州を守っている。


ところが、アジアには、NATOに相当する存在がありません。

アメリカは、日本、韓国、フィリピンなどと、
個別に安保条約を結んでいます。


現状、アジアのパワーバランスは、
中国が圧倒的優位にたっている。

それで、「アジア版NATOがあればいいが」と
思っている人もいるようなのです。

どういうことでしょうか?

WOW! Korea 10月9日付を参考にしてみましょう。



<米国は中国に立ち向かうために「クアッド(Quad)」を

拡大させ、「NATO式」集団防衛体制を構築するという構想
をほのめかしている。>



クアッドというのは、Quadrilateral Security Dialogue。

「四か国戦略対話」と訳されています。

四か国というのは、
日本、アメリカ、インド、オーストラリアのこと。


これを拡大して、「NATO式集団防衛体制を構築する」
ことを、アメリカがほのめかしているそうです。

どういうことでしょうか?



<マイク・ポンペオ米国務長官は去る4日から6日 訪日し、
米国・日本・インド・オーストラリアなどのメンバーによ
る、いわゆる「クアッド」を出発点とするインド・太平洋
地域における多国間安保協力構想へのスタートをきった。

ポンペオ長官は7日付けの日本経済新聞とのインタビュー
で、米・日・印・豪の外交協力を他の国々にも拡げ、今後
インド・太平洋地域に多国間安保システムを構築するのが
望ましいと伝えた。

ポンペオ長官は去る6日 NHKとのインタビューでも、クアッ
ドの4か国だけでなくASEAN(東南アジア諸国連合)など、
価値観を共有するアジア・太平洋地域全体が、中国に立ち
向かわなければならないと強調している。>(同上)



<今後 インド・太平洋地域に多国間安保システムを
構築するのが望ましい>

そうです。

「多国間安保システム」=「NATO式」ということなのでしょう。


NATO式とはどういうことでしょうか?


NATO加盟国の一国が他国から攻撃された。

するとNATOは、「集団的自衛権」を発動し、
その一国を全加盟国で守ります。


アジア版ができたら、どうなるのでしょうか?

たとえば日本が中国から攻撃された。

すると、アジア版NATO全加盟国が、日本を守るために戦う。


逆に、東南アジアのアジア版NATO加盟国が
中国から攻撃されたら?

その場合も、全加盟国が、その国を守ります。

もちろん、日本も、その国を守るために戦う義務がでてきます。


これ、どうなのでしょうか?

日本の立場から見ると、「日米安保と変わらない」気もします。

アジア版NATOができても、実際に日本を守れるのは
アメリカだけでしょう。

逆に、他国が攻められた時は、日本が派兵の義務を
負うことになる。

「変わらない」というか、むしろ「リスクが増大する」気がします。


こういう安全保障の枠組みは、「小国」に利益をもたらします。

たとえば、バルト三国(エストニア、リトアニア、ラトビ
ア)は、旧ソ連諸国で、ロシアからの侵略をとても恐れて
いる。

しかし、NATO加盟国なので、比較的安心していられる。


では、日本は、アメリカが「アジア版NATO構想」を出して
きたら反対すべきでしょうか?

私はそう思いません。

現状を見ると、日本と中国の国力差は、
あまりにも開きすぎています。


GDPは2018年、日本が4兆9717億ドル、中国は13兆3680億ドル。

中国のGDPは、日本の約2.7倍。


軍事費は2019年、日本が476億ドル、中国は2611億ドル。

中国の軍事費は、日本の約5.5倍。


日本一国で中国に対抗するのは、
「ほとんど不可能」な状態です。

(日本には、核兵器もありませんし・・・。)


そして、中国のパワーがさらに強くなり、朝鮮半島、東南
アジア諸国を全部傘下におさめたらどうなるでしょうか?

中国は、北朝鮮、韓国、東南アジア諸国で、
「反日軍事ブロック」を創るかもしれません。

(かつてソ連は、反米軍事ブロック「ワルシャワ条約機構」
をつくり、東欧支配に使っていました。)

だから、日米豪印は、先手を打って、東南アジア諸国を
反中軍事ブロックに入れてしまった方がいいのです。


ちなみに、第1次大戦、第2次大戦は、欧州で起こりました。

第2次大戦後、NATOができた。

ソ連が西欧を侵略すれば、自動的にアメリカが参戦する
仕組みになった。

NATOのおかげで、欧州は「世界の大紛争の中心」ではなく
なったのです。


「アジア版NATO」ができれば、中国は、容易に小国を侵略
することができなくなるでしょう。

アジアのバランスオブパワーは保たれ、中国共産党を長年
に渡って封じ込めることができるようになります。

ですから、アジア版NATOはつくられるべきなのです。


名前は、なんとしましょうか。

NATOは、北大西洋条約機構。

英語で、North Atlantic Treaty Organizationです。

アジア版NATOは、

日本語で、インド太平洋条約機構。

英語で、Indo-Pacific Treaty Organization。

略して IPTO。

というのは、いかがでしょうか?


●PS

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