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     【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.58


                      2020/12/24


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★プーチンは引退の準備をはじめた?



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おそらく全然聞いたことのない話ばかりだと思いますので、
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では、本題。

プーチンが、「自分と家族が死ぬまで訴追されない法案」
に署名しました。

テレ朝ニュース12月23日。



<ロシアのプーチン大統領は自身と家族が生涯にわたって
刑事訴追を免れる法案に署名しました。

プーチン大統領は22日、自らを含む大統領経験者とその
家族に対して罪を犯しても訴追の対象とはならない特権を
与える法案に署名しました。

これまでは大統領在任中の罪に限って免責されていましたが、
今後は特権の対象者は生涯にわたって逮捕や尋問、捜索の
対象にならないと定めています。>



やりたい放題ですね。

これに関連して、
「彼は引退の準備に入った」という説もでています。



<プーチン大統領は2024年に任期満了を控えていて、
今回の法整備は内外から厳しい批判を浴びるとみられ、
引退に向けた布石だという憶測を呼んでいます。>(同上)



これだけ読んでも背景がわからないですね。

そこで今回は、プーチン時代を一気に復習してみましょう。

最重要ポイントだけ押さえてサクサク読めるようにします。



▼プーチン栄光の時代(2000~08年)



プーチンが大統領になったのは2000年です。

彼は、元FSB(旧KGB)長官。

ですが、ロシアでは、それがマイナスポイントには
ならないのですね。

プーチン1期目(2000~2004年)、
主に国内の敵と戦っていました。

国内の敵とは、エリツィン時代にロシアを牛耳っていた
ユダヤ系新興財閥です。

具体的には、「クレムリンのゴッドファーザー」
と呼ばれたベレゾフスキー。

「ロシアのメディア王」と呼ばれたグシンスキー。

「ロシアの石油王」と呼ばれたユコスCEOホドルコフスキー。

ベレゾフスキーは、イギリスに逃げ、不自然に死んだ。

グシンスキーは、イスラエルに逃げた。

ホドルコフスキーは、シベリア送りにされました。
(現在は、釈放されイギリス在住。)

このホドルコフスキーが、
ロンドンのジェイコブ・ロスチャイルドや
当時アメリカ副大統領だったチェイニーに
助けを求めた。

プーチンは、それでもひるむことなく
ホドルコフスキーを逮捕した。

「陰謀論」みたいな話ですが、これ事実です。

「なんか面白そうだな!」と思う人は、拙著


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をご一読ください。

山盛り証拠で、プーチンとユダヤ系新興財閥の戦いを
書いています。

これは、立花隆さんにも、「プーチン本はいろいろあるが、
これが面白い」といわしめた本です。



日本には、一部プーチン崇拝者がいますね。

彼らは、世界を「ナショナリスト 対 グローバリスト」
という構図でみます。

そして、ナショナリストのトランプやプーチンは、
悪いグローバリストと戦う英雄だというのです。

こういう見方は、プーチンがジェイコブ・ロスチャイルド
にも戦いを挑んだ事実から出てきたのでしょう。


2期目(2004~2008年)、プーチンは
アメリカとの戦いに集中します。

具体的には、フランス、ドイツ、中国と組んで、
「ドル基軸通貨体制」を攻撃していった。

結果起こったのが、08年のリーマンショックと、
それにつづく「100年に1度の大不況」です。

これについても、「プーチン最後の聖戦」に詳述して
ありますので、参考になさってください。


プーチンの1期目2期目は、「栄光の時代」でした。

なんといっても、ロシア経済は年平均7%という
驚異的スピードで成長していたのです。



▼メドベージェフ大統領の時代(2008~12年)



プーチンは、「アメリカの没落」を心から願った。

そして、08年にそれが起こりました。

すると、原油価格がバレル140ドル台だったのが、
30ドル台まで大暴落した。

それで、ロシア経済は一気に苦しくなりました。


しかし、「ラッキー」というべきか、プーチンは
危機が起こった時、大統領ではありませんでした。

当時のロシア憲法には、「同じ人物が大統領を
つとめられるのは、連続二期まで」と規定があった。

それで、彼は、若くて弱くて従順に思えた
メドベージェフを大統領にした。

自分自身は、首相になりました。

メドは、毎日テレビで、「今日私は、ツイッターにこんな
ことを書いた」とコメントするほど「アメリカ好き」。

それで、メドの時代は「米ロ再起動時代」と呼ばれ、
両国関係が非常によかったのです。

ちなみに、この時代の副大統領はバイデンさん。

彼は、基本反ロシアですが、必要があれば
「親ロシアのフリ」をすることもできるのです。

ちなみにメドは、大統領になるとすぐ憲法改定を行いました。

それは、大統領の任期を4年から6年に延ばすことです。

しかし、自身には適用せず、
「次の大統領から」としました。

つまり彼は、「プーチンが戻ってきたら6年間できるように」
憲法改定した。

こんなところからも、プーチンの傀儡だったことがわかります。



▼苦難の時代(2012年~現在)



プーチンは2012年、大統領に返り咲きました。

そして、ほとんど即座に、「反米的行動」を再開します。

2014年3月、ロシアはクリミアを併合しました。

それで、アメリカ、欧州、日本などが、経済制裁を科した。

結果、ロシア経済は低迷し、
まったく成長が止まってしまいました。


プーチンは、クリミア併合で、国の英雄になった。

しかし現在は、「経済が全然成長しない」中で、
支持率を保つのが非常に難しくなっています。

ちなみに、メド時代の憲法改定で、
プーチンは6年2期まで大統領でいることができる。

つまり、2012年プラス12年で、2024年までです。



▼終身大統領への動き



2020年7月、憲法改定の是非を問う国民投票が
実施されました。

憲法改定のメインテーマは、「改定後、プーチンが後2回
大統領選に立候補することが可能になる」こと。

78%の支持を得て、憲法改定は成立しました。

結果、プーチンは、後2回大統領選に
立候補することができる。

つまり、2024年プラス12年で、2036年まで
大統領でいることが可能になりました。

プーチンは2036年、84歳になります。

それで、「事実上の終身大統領」になる
可能性が出てきたのです。



▼プーチン「重病説」



ところが、プーチン自身と取り巻きが「終身大統領」を
望んでも、健康問題で引退を余儀なくされる事態もあり得る。

11月、「プーチン重病説」が出てきました。

テレ朝ニュース11月8日。



<イギリスメディアが報じたプーチン大統領の健康不安説
を巡ってロシアの著名な政治学者は、「病気を理由にまも
なく辞任する」という見解を示しました。

元モスクワ国際関係大教授、ワレリー・ソロベイ氏:

「(Q.プーチン氏の体調と進退をどう考える?)

病気は深刻で大統領の職務遂行はまもなく難しくなる」


ANNの取材に対し、元モスクワ国際関係大学教授のソロベ
イ氏は7日、プーチン氏は年明けにも辞任を表明する意向
で、来年4月にロシア大統領選挙の開催が検討されている
と述べました。

元教え子のロシア政府関係者からの確度の高い情報だと主
張しています。>



そして今回、プーチンと家族は、死ぬまで訴追されないと
いう法律が成立した。

これは、


・プーチンは、病気でまもなく引退する

・独裁者プーチンには、敵が多い

・敵、あるいは現側近でも裏切り者が政権についた時、
プーチンと家族の安全を法律で守る必要がある



と考えた行動のようにも見えます。

トランプと並んで、「キャラ立ち」した男プーチン。

彼はこれからどうなっていくのでしょうか?

しっかりウォッチしていきましょう。


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