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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.65
2021/1/22
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★バイデン政権の対中政策
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
バイデン政権になって、一番気になるのは、
「対中政策はどうなるか?」でしょう。
次男のハンター・バイデンが、
中国から大金をもらっていたことは、有名な事実です。
それで、「バイデンが大統領になって、米中は和解して
悲惨なことになる」と予測する人もいます。
しかし、私はずっと、「バイデンが大統領になっても
米中覇権戦争は終わらない」と書きつづけています。
なぜでしょうか?
理由は、二つあります。
一つは、「米中覇権戦争が実質はじまったのは2015年。
つまり、オバマ、バイデン政権の時だった」から。
2015年3月「AIIB事件」が起こりました。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、
オーストラリア、韓国
など、いわゆる「親米諸国」が、中国主導の国際金融機関
「AIIB」に入ってしまった。
アメリカが「入るなよ!」と要求していたのを無視して。
これで、ボンヤリ者のオバマさんも、
「中国が最大の敵だ!」と悟った。
ここから、米中覇権戦争の前哨戦がはじまったのです。
「オバマ政権は親中だった」といわれます。
確かに、2009~2014年は、その通りです。
しかし、2015年、2016年は、逆に「超反中だった」という
のが事実なのです。
二つ目は、「中国共産党政権打倒」が
「国論」になっていること。
つまり、トランプの共和党だけでなく、バイデン民主党の
議員も、「中共打倒」では、心を一つにしているのです。
二つ証拠を提示しておきます。
去年の6月、アメリカで「ウイグル人権法」が成立しました。
民主党は、これに反対したのでしょうか?
まず、上院。
<米上院、ウイグル人権法案を全会一致で可決
ロイター2020年5月15日
米上院は14日、中国政府がウイグル族などイスラム教の
少数民族を弾圧しているとして、トランプ政権に強硬な対
応を求めるウイグル人権法案を全会一致で可決した。>
次に下院。
<ウイグル人権法案、米議会を通過
トランプ氏署名に注目
AFP 2020年5月28日8:46 発信地:ワシントンD.C./
【5月28日AFP】米下院は27日、中国の新疆ウイグル自治区
(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でイスラム教徒
の少数民族ウイグル人が施設に強制的に収容されていると
される問題で、中国当局者への制裁に道を開くウイグル人
権法案を賛成413、反対1で可決した。>
どうですか?
上院、下院で、ウイグル人権法に反対したのは一人だけです。
次に「香港自治法」を見てみましょう。
まず、下院。
<米下院、香港めぐり中国制裁の法案を可決 国家安全法
を非難
BBC News Japan 2020年7月2日
米下院は1日、中国による「香港国家安全維持法」の施行を
受け、香港の自治侵害に関して制裁を科す「香港自治法案」
を全会一致で可決した。
法案は、香港の民主化デモの取り締まりに当たる中国当局
者と取り引きする銀行に罰則を与えるというもの。>
次に上院。
<米上院も「香港自治法案」を可決 大統領署名で成立へ
SankeiBiz 2020.7.3 09:21
【ワシントン=黒瀬悦成】米上院本会議は2日、香港に保
障されていた「高度な自治」の抑圧に関与した中国当局者
や組織、金融機関に対して米政府が制裁を科すことを求め
る「香港自治法案」を全会一致で可決した。
中国が反体制活動家の取り締まり強化などを目的とする「
香港国家安全維持法」を施行したのを受けた措置。>
どうですか?
こちらは、下院も上院も「全会一致」。
共和党だけでなく、全民主党議員が、香港問題で中国を罰
することを支持しています。
「反中 = 国論」の意味、ご理解いただけたでしょう。
▼ブリンケン新国務長官は、何を語っているか?
ここまでは、今までも書いてきたことです。
ここからは、ブリンケン新国務長官が何を語っているか
みてみましょう。
ロイター1月19日を参考にします。
<バイデン次期米大統領が国務長官に指名したブリンケン
元国務副長官は19日、上院外交委員会で開かれた指名承
認公聴会で、
米国にとって中国が最重要課題なのは「疑う余地がない」
と強調し、中国に対抗するため超党派の政策を構築する非
常に強い基盤があるとの認識を示した。
トランプ政権の対中強硬政策について、全ての手法に賛同
しているわけではないが、正しかったとの見方も示した。>
・中国が最重要課題なのは「疑う余地がない」
・トランプ政権の対中強硬政策は、「正しかった」
希望が持てる発言です。
ブリンケンさんは、「ウイグル問題」についてどう考えて
いるのでしょうか?
<ポンペオ国務長官が19日、中国が新疆ウイグル自治区
でウイグル族などイスラム教少数民族に対し「ジェノサイ
ド(民族大量虐殺)」を犯したと認定したことに関して意
見を求められると、「私もそう判断するだろう」と答え、
支持を表明した。>(同上)
ここでブリンケンさんは、ポンペオさんが「ウイグルで民
族大量虐殺が起こっている」と認定したことを支持してい
ます。
<就任後30日間にどのような対応を取るか問われると、
出発点として、新疆ウイグル自治区で強制労働により生産
された商品を輸入しないための措置や、ウイグル族へのさ
らなる抑圧に利用されかねない技術などを輸出しない措置
を徹底する必要があると述べた。>(同上)
これって、「トランプ政権がやっていたことをつづける」
ということですよね。
台湾はどうでしょうか?
<バイデン政権として、台湾の自衛能力保持に対するコミ
ットメントを堅持するとも表明した。
また、台湾が国際社会でより大きな役割を果たすことを望
むとし、国家でなくても加盟できる国際機関に台湾は加わ
るべきであり、国家であることが加盟条件の場合は「他の
参加方法がある」と述べた。
台湾との関係深化を支持する考えも示し、ポンペオ国務長
官が今月、台湾との政府高官級の接触規制解除を発表した
ことに言及。
「この手続きが終わっていないなら、完了を見届け、接触
拡大を模索する(台湾保証)法に沿って行動したい」と
述べた。>(同上)
ここでは、台湾についても、「トランプ政権の政策を継承
する」といっているようです。
では、バイデンとトランプで、何が変わるのでしょうか?
一つ目。
トランプは、国際機関、国際条約を重視していなかった。
バイデンは、重視する。
バイデンはすでに、「パリ協定」復帰の手続きを開始しま
した。
さらに「WHO脱退はやめる」と宣言した。
「イラン核合意」にも復帰することでしょう。
二つ目。
トランプは、欧州との関係をぶち壊しましたが、バイデン
は、米欧関係を修復するでしょう。
三つ目。
トランプは、新型コロナウイルスを「チャイナウイルス」
と呼び、
中国に「責任をとれ!」と要求していました。
バイデン、ここの追及はあまくなりそうです。
というわけで、バイデン新政権が動きはじめました。
トランプ時代とは、いろいろ変わるでしょう。
しかし、「米中覇権戦争は終わらない」というのが、現時
点での私の認識です。
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