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【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.77
2021/3/1
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★ミャンマーで何が起こっているのか?
全世界の裏RPE読者の皆さま、こんにちは!
北野です。
ミャンマーのデモで、18人が死亡したそうです。
3月1日、FNNプライムオンラインから。
<クーデターから、3月1日で1カ月となるミャンマーでは、
治安部隊による弾圧がさらに強化され、2月28日だけで
少なくとも18人が死亡した。
ミャンマーの治安部隊は28日、最大都市ヤンゴンなど
各地で、デモ隊に対し催涙ガスの使用や威嚇発砲を
繰り返し、強制排除にあたった。
国連は、ヤンゴンや南部ダウェイなど6都市で、少なく
とも18人が死亡し、30人以上が負傷したと発表し、実弾
による死者が出たとしている。>
というわけで、今日は、ミャンマーのお話をしましょう。
▼ミャンマーとは
ミャンマーは、中国とインドに挟まれた場所にある国。
この二大国の他に、タイ、ラオス、バングラディッシュと
国境を接しています。
1886年にイギリスの植民地になった。
1942年から1945年は、日本の統治下にありました。
1945年、日本敗戦で一時期イギリスの植民地に戻りました。
しかし、1948年に独立を達成。
当時は、「ビルマ」といいました。
1962年、社会主義革命が勃発。
1988年、軍がクーデターを起こし、国名を「ミャンマー」
としました。
▼アウンサンスーチーさんとは
ミャンマーというと、真っ先に思い浮かぶのが
「スーチーさん」こと
アウンサンスーチー氏ですね。
1945年生まれの彼女は、「ビルマ独立の父」アウンサン将
軍の娘です。
当時のビルマ人には珍しく、オックスフォード大学で学び、
1968年政治学修士号を取得しています。
1969年から71年まで、ニューヨークに住み、国連で働いて
いました。
1972年、イギリス人東洋文化学者マイケル・アリスと結婚。
イギリスに戻ります。
1985年から1986年にかけて、
京都大学東南アジア研究センターで
客員研究員として過ごしました。
お父さんのアウンサン将軍について調べていたそうです。
アウンサンスーチーさんは、イギリス、アメリカ、日本で
暮らし、
結婚し、二人の子供に恵まれ、幸せな生活を送っていたの
です。
しかし・・・。
▼苦難の時代
1988年、彼女は「母危篤」の報を受け、ビルマに帰国しました。
彼女の帰国中に、軍によるクーデターが起こった。
アウンサンスーチーさんは、「伝説のアウンサン将軍の娘」
ということで、
「民主化のシンボル」に祭り上げられてしまいました。
彼女は、同志たちと、政党「国民民主連盟」を立ち上げます。
軍は、彼女の存在を脅威と認識し、1989年「自宅軟禁」に
しました。
1991年、アウンサンスーチーさんは、「ノーベル平和賞」
を受賞。
(自宅軟禁中の彼女は、授賞式には参加できなかった。)
1999年、夫のマイケル・アリスがガンで死亡。
彼女は、最後の10年夫と会うことができず、死に立ち会う
こともできませんでした。
▼束の間の栄光と挫折
2010年、アウンサンスーチーさんは、ようやく解放されました。
2015年の選挙で国民民主連盟が大勝。
2016年、彼女は、「国家顧問」に就任しました。
(@現憲法では、本人や配偶者、子供が「外国籍」だと大
統領になれない。
彼女は、子供たちがイギリス籍なので大統領になれない。)
ようやく、「アウンサンスーチーの時代」が訪れたのです。
しかし、彼女の「国際社会における栄光」は長続きしませ
んでした。
理由は、「ロヒンギャ問題」です。
2017年、軍が少数民族ロヒンギャ族を虐殺し、
70万人の難民が発生しました。
アウンサンスーチーさんが、これを積極的に止めなかった
ことで、世界的に非難されることになった。
彼女には同情すべき点もあります。
というのは、現行の憲法は、軍政時代につくられた。
この憲法によると、大統領や国家顧問には、
「軍を動かす権限がない」(!)のです。
それどころか、「警察を動かす権限」もない。
このことを知らない国際社会は、彼女を非難しましたが、
ミャンマー国民の支持が下がることはありませんでした。
▼クーデター、そして再び自宅軟禁へ
2020年11月に行われた総選挙。
彼女の国民民主連盟が476議席中396議席を獲得した。
軍の政党「連邦団結発展党」は、わずか33議席で惨敗。
軍はこの結果に不満で、選挙のやり直しを求めます。
ところが、国民民主連盟が拒否したので、クーデターを
起こし、
再びアウンサンスーチーさんを拘束し、自宅軟禁状態に
した。
国民は、これに反対で、大規模デモがつづいている。
そして、軍の発砲で18人の犠牲者がでた。
▼米中の立場は?
米中の立場はどうなのでしょうか?
基本的に、アメリカはアウンサンスーチー支持。
中国は、軍を支持、
という構図です。
アメリカは、「ロヒンギャ問題」で一時彼女に失望していた。
しかし、「軍かアウンサンスーチーか?」と選択を迫られたら、
「アウンサンスーチーの方がマシ」ということなのです。
現状、軍は強硬な姿勢を崩していません。
これは、香港以降、「スタンダード」になっていますね。
ベラルーシでも、ロシアでも、ミャンマーでも
「デモは、武力で弾圧しよう!
中国はそれで香港デモを鎮静化させた。
俺たちもきっとできる!」
と。
中国の悪い成功例が、他国の独裁者たちを勇気づけています。
「中国の時代が来る!」という人がいます。
香港、ベラルーシ、ロシア、ミャンマーを見てください。
中国の時代がくるとしたら、どれほど「暗黒時代」なのか
を知るべきです。
そのことをはっきり自覚したら「中国の時代が来ることを
阻止しなければ」
と確信するでしょう。
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